世界が認めた開成町の日本酒と発酵のうまみのペアリングを楽しむ夜
瀬戸酒造店、38年の時を越えた「再始動」が開成町を世界へ
神奈川県開成町。ここに世界が注目する日本酒の蔵があることをご存知でしょうか。
瀬戸酒造店、かつては活気に満ちていた蔵も、時代の流れとともに酒造りを停止。
地域おこしの一環として、蔵の再稼働が呼びかけられたものの、後継者不在でとん挫。
そこに、同町で地方創生事業を展開するコンサルタント会社が「開成町を元気にしたい」という強い想いで、自ら酒造りに挑戦するという異例の試みがスタート。
ついに2018年、38年ぶりの再始動により蔵は息を吹き返しました。
新たな杜氏を迎え、伝統の製法を活かしつつも、最新の技術を融合させた新しい酒造りを始めたところ、翌2019年に腕試しとして挑戦したフランスの世界的なコンクールでプラチナ賞TOP14入りを果たし、その後も毎年数々の国際的な品評会で受賞。
そして、2024年には世界酒蔵ランキングにおいて5つ星(8位)を獲得。
小さな町の小さな蔵が、瞬く間に世界の日本酒シーンで存在感を示すようになりました。
お酒をデザインする ~3つのブランド戦略と22銘柄の多様性~
この蔵の日本酒は、3つのブランドで展開されています。
それぞれのブランドが異なるコンセプトを持ち、22種類ひとつひとつの銘柄が持つ繊細で多様な味わいを独自のストーリーとネーミングで表現したデザイン性の高いラインナップが特徴です。
♦「酒田錦」は、復活以前から瀬戸酒造店で醸造されていた銘柄を残した復刻版として、昔とは味わいが変わるものの、蔵付き酵母を使用して醸(かも)す瀬戸酒造店の歴史を織り交ぜたお酒です。
●「セトイチ」は再始動した瀬戸酒造店が伝統の技と柔軟な発想で提案する日本酒の可能性を拓いていくお酒です。
全量小仕込みによる丁寧な造りと、醸造技術の組み合わせから生まれる味わいの多様さを表現しています。
▲「あしがり郷」は地元開成町の町花でもある「あじさい」から採取した酵母を使った瀬戸酒造店にしかないお酒で、独特の酸味とブドウのような芳香が特徴。地元農家さんの造る酒米も使用している地域色のあるお酒です。
飲むシチュエーションを提案
かくぴぃ、いざ、はるばる、手の鳴る方へ、ぴいひゃら、月が綺麗ですね。。。
人気のブランド「セトイチ」には、ユニークなネーミングのお酒がずらりと並びます。
瀬戸酒造店営業担当の奥津さんによると、このネーミングは再始動以来、お酒を造るみんなで出来上がったお酒を前に徹底的に議論をして決められるとのこと。
お酒の味わいと香りをもとに飲んでもらいたいシチュエーションを想像しながら生まれたネーミングとそれを表現するラベルデザインに作り手のこだわりが表現されています。
たとえば、「月が綺麗ですね」のキャッチコピーは、
「月を見上げながら、ゆっくりと。
秋の夜に、ひとり静かに思いを巡らしながら飲むもよし。
大切な人と夜空を眺めて、やさしく語らいながら飲むもよし。」
鯛や平目の刺身や小田原の高級かまぼこなど、品のある肴によく合います。
と、飲んでほしい場面と相性の良い肴まで提案しています。
お酒を飲むだけでなく、お酒に合わせて食べることを楽しんでほしいという思いが伝わってきます。
古民家瀬戸屋敷で発酵食とお酒のマリアージュを体験
2024年世界酒蔵ランキングで8位を獲得した開成町の「瀬戸酒造店」の直売所でショッピングを楽しみ、その後、築300年の古民家「あしがり郷 瀬戸屋敷」に移動して、火入れから炊き上がりまで、釜戸を使ったごはん炊きに挑戦。
そして、麹の力でうまみを引き出した発酵料理と瀬戸酒造店選りすぐりの日本酒とのペアリング体験でお楽しみいただきます。
体験の特徴
・こだわりの日本酒が並ぶ瀬戸酒造店の直売所でショッピング
・町の重要文化財に指定されている茅葺屋根の古民家「瀬戸屋敷」を利用しての食事体験
・地元のブランド米を使い、瀬戸屋敷の土間の釜戸を使ったごはん炊き体験
・瀬戸酒造店のオリジナル発酵調味料を使った発酵料理と日本酒のペアリング体験
・希望者には最寄りの開成駅からトゥクトゥクに乗って周辺を見学できる送迎プラン(所要時間約20分)を用意
地元ブランドのおいしいお米、野菜、そして世界が認めた瀬戸酒造店のお酒。それらを歴史ある古民家でおいしいお料理とともに味わう。
日本の発酵のチカラを実感できる、ここにしかない特別な夜を楽しんでみてはいかがでしょうか?
この記事を書いたライター
旅ナカラボ合同会社
代表 観光新規事業開発支援プロデューサー
野添幸太
「日本の旅をもっと便利に、もっとおもしろく、アップデートする」がミッション。
小田原を拠点に観光新規事業開発プロデューサーとして、観光コンテンツ企画開発支援と観光情報発信支援を行っています。