車窓・空中・湖上から楽しむ!乗り物でめぐる神奈川の紅葉旅

車窓・空中・湖上から楽しむ!乗り物でめぐる神奈川の紅葉旅

紅葉の楽しみ方は、色づいた木々の下を歩くことだけではありません。神奈川には、山岳鉄道やケーブルカー、ロープウェイ、遊覧船など、乗り物に揺られながら秋景色を眺められる場所があります。

車窓のすぐそばまで迫る赤や黄色の木々。山の斜面を上から見渡したり、水上から湖畔の紅葉を眺めたりと、乗り物によって景色の見え方も変わります。歩いて巡るときとは少し違う目線から、神奈川の秋を楽しんでみてください。

今回は、NHK Eテレ「趣味の園芸」で講師兼ナビゲーターを務める園芸デザイナー・三上真史さんに、乗り物と一緒に楽しみたい神奈川の紅葉スポットをご紹介いただきます。

  • 【執筆者】三上真史
    【執筆者】三上真史
    【この記事を書いた人:三上真史】
    園芸デザイナー/GREEN×EXPO 2027 スペシャルサポーター/横浜の花と緑をPRするアンバサダー
    グリーンアドバイザー、1級FP技能士
    NHK Eテレ「趣味の園芸」講師兼ナビゲーター / NHK「あさイチ」講師 / テレビ静岡「くさデカ」/ NST「スマイルスタジアム」
    著書「三上真史の趣味の園芸のはじめかた」(NHK出版)
    YouTube「三上真史の趣味は園芸チャンネル」登録者数 22.3万人

箱根登山電車|ジグザグに山を上りながら渓谷の紅葉へ

神奈川を代表する紅葉エリアといえば箱根ですよね。箱根湯本から強羅へ向かう箱根登山電車では、紅葉した山の中を列車で進みながら紅葉狩りが楽しめます。

箱根湯本駅から強羅駅までは約9km。急勾配やカーブを通り、途中で進行方向を切り替えながら約40分かけてジグザグに山を上ります。
私も実際に乗ったことがありますが、電車に乗っている時間そのものが紅葉狩りになるのが、箱根登山電車の魅力だと感じました。車窓を流れていく景色を眺めているだけでも、山の中へ入っていくワクワク感があります。

見どころのひとつが、塔ノ沢駅と大平台駅の間にある早川橋梁です。「出山の鉄橋」と呼ばれる橋に差しかかると、眼下には渓谷と色づいた山の斜面が広がり、圧巻の景色を楽しめます。

強羅で下車したあとは、箱根強羅公園や箱根美術館へ足を延ばすのもおすすめです。車窓とは違った距離から、庭園の紅葉を見て歩けます。

電車からは山全体を、降りてからは庭園の木々を近くから。見る距離を変えることで、同じ紅葉でも違った表情が楽しめますよ。
画像提供:小田急箱根

箱根ロープウェイ|紅葉と大涌谷の火山景観を空から眺める

強羅からさらに箱根登山ケーブルカーで早雲山まで上ると、今度は箱根ロープウェイに乗り換えられるので、山の上を進みながら大涌谷方面へ向かってみるのもおすすめです。

大涌谷といえば、活火山である箱根山の噴煙地として知られる観光スポット。早雲山から大涌谷へ向かう区間では、色づいた木々の向こうに荒々しい岩肌や白く立ち上る噴気が現れ、紅葉と火山活動を感じさせる景観を同じゴンドラの中から眺められます。

訪れた際に感じたのは、やはり紅葉だけではなく、そうした火山大地も含めて見事な一つの景観になっているということ。植物の美しさだけでなく、その土地ならではの自然が織りなす表情も一緒に楽しんでほしい場所です。

散策を終えて再びロープウェイに乗れば、その先は桃源台。山の景色を楽しんだあと、そのまま芦ノ湖へ向かえます。

上から山を眺めると、一本一本の木を見るのとは違い、紅葉が山肌を彩る大きなグラデーションとして見えてきます。
画像提供:小田急箱根

箱根海賊船|芦ノ湖を渡りながら紅葉した山を見る

桃源台に着いたら、箱根海賊船へ乗り換えられます。ロープウェイを降りたあと、そのまま芦ノ湖の船旅を楽しめるルートです。

芦ノ湖周辺は、例年11月上旬頃から紅葉が進みます。船が港を離れると湖岸との距離が広がり、色づいた山並みに囲まれるようなかたちで紅葉狩りが楽しめます。海賊船をイメージした船体も芦ノ湖ならでは。

デッキに出れば湖上の風を感じられリフレッシュもできるはずです。風が穏やかな日には山の紅葉が水面に映ることもあるので、いわゆる”映える写真”も撮れるかもしれません。まさに自然が生み出す芸術で、惚れ惚れする美しさです。

ロープウェイでは上から眺めていた山を湖面近くから見上げられます。視点が変わるだけで、紅葉の見え方もぐっと変わってきます。

電車、ロープウェイ、船を乗り継ぎながら、それぞれ違った箱根の秋景色を楽しめるルートです。
画像提供:小田急箱根

大山ケーブルカー|紅葉の石段と寺社をめぐる大山の秋

箱根と並んで、山の紅葉を楽しみたいときに訪れたいのが大山です。山々の紅葉を楽しみつつも、伊勢原市の大山寺や大山阿夫利神社をケーブルカーで巡って楽しめます。

大山ケーブルカーは、大山ケーブル駅から阿夫利神社駅まで約6分間。途中の大山寺駅で下車すると、大山寺の本堂へ続く石段へ向かえます。

例年11月中旬から下旬には、石段の両側に並ぶモミジが赤く色づきます。下から見上げると、本堂へ向かう階段の上まで葉が重なる景色が楽しめるので、ここも映えスポットのひとつとしておすすめです。

庭づくりでは、植物そのものだけでなく、その植物が引き立つように周りの景観や建物を活かして一つの景色をつくっていくことが多いのですが、大山寺の石段とモミジはまさに相性抜群。お互いの美しさを引き立て合う、そんな景観の魅力を感じられる場所です。

11月上旬には大山菊まつりが行われる年もあります。地元愛好家の皆さんが丹精込めて育てた色鮮やかな大輪の菊が境内を彩る秋の風物詩です。時期が合えば、紅葉が深まる前の大山で様々に咲き誇る菊にも目を向けてみてください。

宮ヶ瀬ダム インクライン|紅葉の山と巨大ダムを一緒に楽しむ

県央エリアでは、宮ヶ瀬の山々も秋になると色づきます。なかでも宮ヶ瀬ダム周辺では、紅葉と巨大なダムを同じ場所で見られるのが特徴です。

県立あいかわ公園側から歩いていくと、山の間に大きなコンクリートの堤体が現れます。その足元からダム上へ移動できるのが、建設時の設備を活用したインクライン(ケーブルカー)です。

高低差は121m。斜面を上るにつれて堤体を見る位置が変わり、上に着くと公園や周囲の山々の紅葉まで見渡せます。
モミジやカエデだけを眺める紅葉狩りとは少し違う景色。コンクリートの巨大な構造物と色づいた山を見比べながら歩けるのが、宮ヶ瀬ダムの面白さです。

自然の中にある大きな人工物と、周囲の植物がつくる景観にもぜひ注目してみてください。植物だけを見るのではなく、建物や地形まで含めて眺めると景色の楽しみ方が広がります。

相模湖遊覧船|晩秋の紅葉を湖の上から見渡す

11月も終わりに近づいたら相模湖の紅葉狩りがおすすめです。例年11月下旬から12月上旬頃に紅葉シーズンを迎える、県北エリアのスポットです。

相模湖は急な山々に囲まれており、湖岸からでは斜面全体を見渡しにくい場所もあるのですが、遊覧船に乗って岸から離れると勝瀬橋周辺や嵐山などの色づいた山並みが視界に入るので迫力満点です。

湖の上から見ることで、山全体の紅葉が一気に視界に入ってくるのがとても印象的でした。岸から見るのとはまた違う、湖上ならではの紅葉の楽しみ方です。

下船後は県立相模湖公園の散策もおすすめ。11月にはサルビアやマリーゴールドが残ることがあり、パンジーやビオラも咲き始める時期です。

紅葉だけでなく、秋の花から冬の花へと移り変わる植物にも目を向けてみると、季節の変化をより感じられますよ。

エリアごとに楽しむ!神奈川の紅葉の見頃時期

神奈川県内では、標高やエリアによって紅葉の時期に差があります。そのため、一度見頃を逃しても、場所を変えると紅葉に出会える可能性があるので、その時々の見頃の場所を探してみてください。

例年の目安では、10月下旬頃から色づき始めるのは、大涌谷周辺など箱根の標高が高い場所です。11月上旬になると芦ノ湖周辺、11月中旬から下旬には箱根登山電車沿線や大山でも紅葉が進みます。11月下旬から12月上旬頃なら相模湖へ。

紅葉は、真っ赤に色づいたピークだけが見頃ではありません。色づき始めの緑から黄色、オレンジ、赤へと変化していくグラデーションもその時期ならではの美しさです。

ぜひ、時期に合わせて行き先を選び、電車やケーブルカー、船に乗りながら神奈川各地の紅葉を楽しんでみてください。いつもの「歩いて見る紅葉」から少し視点を変えて、「乗って見る紅葉」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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