展覧会概要
国立劇場は、日本の伝統芸能の保存と振興のため、1966年に設立された日本初の「国立」の劇場です。明治初期の日本の近代国家の幕開けとともに、西洋に倣った官立の劇場施設が切望され、長い時を経て待望の開場を果たしました。その場内には、日本画を中心とした当時の画壇最高峰の作家による作品が集められ、格調高い趣を作り出す一翼を担い続けました。近現代の日本画の収集・展示を積極的に行っている平塚市美術館では、国立劇場の再整備等事業のための閉場期間中、これらの作品を預かり、本展では全36点を一堂に展示します。
このたび平塚市美術館が預かった作品は、大正3(1914)年の鏑木清方《野崎村》を除き、すべて1940年代以降に制作された作品です。日本画は、戦後の1940 年代、新しい現実社会を生きる人々の感覚と伝統的な日本画との間に差異が生じ、大きな転換期を迎えました。新しい日本画の在り方を模索する画家たちは、西洋絵画の表現手法を参照し、あるいは東洋古典の新解釈を試みるなど、意識的にも造形的にも試行錯誤を重ねました。国立劇場のコレクションには、それらの傾向があらわれた作品が多く含まれており、多種多様な作品が集められています。
本展では、これらの作品を主題やモチーフをもとに「1.物語・役者を描く」「2.風景を描く」「3.花・動物を描く」「4.人を描く」という4 つのテーマに分けてご紹介します。長きにわたって劇場内を彩り、幕間や上演前後の来場者に楽しまれてきた国立劇場のコレクションは、場外で一堂に展示されたことはなく、本展は初めての機会となります。美術館の展示室という劇場内とは異なった空間で、作品の魅力を心ゆくまでご鑑賞ください。
みどころ
1. 美術館の展示室で劇場内を彩った作品を鑑賞
設立当時から国立劇場を彩ってきた作品群は、場外で一堂に展示されたことはなく、本展が初めての機会となります。劇場内とはまた違った美術館の展示室という空間で、多種多様な作品の魅力をお楽しみください。
2. 歌舞伎・文楽などの一場面や役者を描いた作品を紹介
鏑木清方(1878-1972)の《野崎村》は、身分違いの恋に悩む大坂油屋の娘・お染の切ない場面を描いた作品です。本展の第1章では、物語の一場面や役者の姿を鮮やかに絵画化した作品をご紹介します。
3. 戦後の新たな日本画の多彩な表現をみる
戦後の1940年代、日本画は大きな転換期を迎えました。それまでの伝統的な日本画とは異なる新しい在り方を模索する画家たちは、意識的にも造形的にも様々な試行錯誤を重ねました。本展の出品作には、それらの傾向があらわれた作品が多く含まれています。
■会期:2025年10月11日(土)〜2026年2月15日(日)
■会場 :展示室 平塚市美術館 展示室Ⅰ
■時間 :9:30~17:00(入場は16:30まで)
■休館日:月曜日
(ただし10月13日、11月3日、11月24日は開館)、10月14日(火)、11月4日(火)、11月25日(火)年末年始(12月29日~1月3日)、1月13日
■観覧料:一般200(140)円、高大生100(70)円、中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
※毎週土曜日は高校生無料
※各種障がい者手帳の交付を受けた方と付添1名は無料
※65歳以上で平塚市民の方は無料、
市外在住の方は団体料金(年齢・住所を確認できるものをご提示ください)
■主催:平塚市美術館
【関連イベント】
※詳細は下段の平塚市美術館WEBサイトをご覧ください。
当館学芸員によるギャラリートーク(申込不要、要観覧券)
日時:11月23日(日)、12月13日(土)、1月18日(日)、2月7日(土)
各日14:00 ~ 14:40
場所:展示室Ⅰ
対話型鑑賞会「おしゃべり美術館にあーつま~れ」(事前申込制、要観覧券)
日時:12月6日(土)、1月17日(土)各日①11:00~/②14:00~
場所:展示室Ⅰ
内容:鑑賞ボランティア・ひらビあーつま~れのメンバーと一緒にお話ししながら鑑賞します。
ぬいぐるみおとまり会(事前申込制、要観覧券)
日時:お預かり日 1月24日(土)15:00~16:00/お迎え日 2月7日(土)15:00~16:00
内容:お気に入りのぬいぐるみが美術館を探検。お預かり日にはぬいぐるみと一緒に展覧会をまわり、お迎え日には皆でおとまりの様子をスライドショーで鑑賞します。おとまりの様子は美術館のインスタグラムでも公開します。
定員:10名(1人につき、ぬいぐるみ1体)
同時開催
企画展「没後35年 北澤映月展」
会期:10月11日(土)~11月30日(日)
【施設について】
「湘南の美術・光」をメインテーマとし、湘南にゆかりのある作品を集めた特集展や企画展などを開催しています。文化・芸術の創造や学びの場として、市民に親しまれています。