小田原近郊　花がテーマのハイキング【花のコラム】

小田原北条氏の時代に兵糧用に梅の木が植えられ、江戸時代には藩主の大久保氏が梅の栽培を奨励し、箱根越えの旅人の必需品として梅干が重宝されました。
小田原の中で食用の梅を生産する曽我梅林では、その花の美しさを多くの観光客に楽しんでいただくため、梅まつりを毎年2月に開催するようになりました。
小田原ガイド協会では梅まつりに合わせ、梅の他にも隠れた名所が点在する「曽我の里ハイキングツアー」を開催しています。
また、梅まつり期間中は、小田原駅近くの「梅の里センター」に臨時レンタサイクル貸出所を設けていますので、サイクリングでも楽しんでいただけます。
約3万本の梅花が咲き誇る梅まつりの中心会場である「別所梅林」へは、JR下曽我駅から案内表示に従い徒歩10分です。

鉄道ファンのタモリさんがJRの全4,368駅（当時）の中から1つだけ選んだのが、小田原から東海道線で2駅目の絶景の駅「根府川駅」でした。
根府川おかめ桜まつりは、桜の里づくりとして地元住民が中心となって桜を植栽し、地域活性化に取り組む根府川地区で毎年2月後半から3月初旬にかけて開催されます。
おかめ桜はイギリスの園芸家が開発し、ソメイヨシノより早咲きで濃いピンク色の花がうつむくように咲くのが特徴です。
なお、ハイキングコースとしては、根府川駅から一旦相模湾へむかって下り、釈迦堂・根府川関所跡を見学。みかん畑の農道を登り、真鶴半島から三浦半島までを見渡せる展望台で一休み。おかめ桜を鑑賞しながら、根府川駅へブラブラと戻るコースがお勧めです。

サイカチの木が植えられていたことから名付けられた西海子小路は、小田原城箱根口門跡から東海道を横切り南へ徒歩5分。
戦国の北条時代の町割りに、江戸時代には中堅藩士の武家屋敷が並び、明治から昭和にかけては、多くの文学者が居を構え文学活動を行っていました。一角には元宮内大臣・田中光顕伯爵の別邸があり、「小田原文学館」として活用されています。
（さくら祭りの期間には、文学館隣接地が臨時駐車場として開放されていますが、混み合いますので公共交通機関をご利用下さい。）
小田原駅を出発し、小田原城内のさくらを鑑賞してお堀端通りから西海子小路のさくら並木を抜け、小田原漁港まで約5km。
漁港付近の食事処で海鮮料理を満喫してみるのはいかがでしょうか。
このコースは、さくら祭り時だけでなく、小田原まち歩きのお勧めコースです。

小田原駅からフラワーガーデン行きバスで約30分。
小田原三大曹洞宗の一寺「総世寺（そうせいじ）」に到着します。
1441年開創の古刹で、小田原では「ざる菊」のお寺として知られています。
11月上旬に小田原城で開催される「菊花展」は、フラワーガーデンの秋バラとともに小田原の秋の風物詩としておなじみ。
小田原駅から小田原の原風景が広がる平坦な約4.5kmの道を歩いても良し、小田原駅東口ぐるりんで自転車を借りてサイクリングも良し。
小田原の秋を存分に感じられるコースです。

NHKの番組で「江戸の原点は小田原にあり」と紹介された所以の1つである地域「板橋」。
最古の上水道といわれる小田原用水が流れ、戦国時代は寺の町、江戸時代は職人の町でした。
明治時代後半に三井財閥の組織を作り上げた益田孝が別荘「掃雲台（そううんだい）」を構え、その縁で政界の大御所となっていた山縣有朋が70才の時に別邸「古希庵（こきあん）」を建てました。
そこから1923年の関東大震災までの20年間は板橋の大別邸時代と呼ばれています。
約3,000坪の古希庵庭園、山縣側近で23代総理大臣・清浦圭吾の別邸「皆春荘（かいしゅんそう）」、そして電力王と呼ばれた松永安左エ門の終の棲家「老欅荘（ろうきょそう）」など別邸が点在しています。
これら別邸の紅葉が真っ赤に染まり、見頃となる12月初旬の土日には小田原市主催による「文化財建造物観覧会」が開催され、庭園も一般見学ができます。
また、古希庵の隣にはNHK朝ドラで名が知られた三淵嘉子氏の別邸「甘柑荘」があり、みかんも色づいています。

【アクセス】小田急線箱根板橋駅から、それぞれの庭園まで徒歩で約10分