神奈川県のオリジナル花品種
神奈川県農業技術センターでは、温暖な気候を生かして多くのオリジナル花や観賞樹の品種を開発、育成しています。
その中でも多品種を生み出しているのがバラとスイートピー。県のオリジナル花品種について、実際に県内生産に適した品種の研究・開発・育成に携わる神奈川県農業技術センターの研究員である栁下良美さんと勝間田やよいさんにお話を伺いました。
バラ
神奈川県でバラの開発が始まったのは1979年頃。それまでバラはオランダをはじめとする海外品種が主流でした。産地間競争も激化し、1980年頃から本格化したバラの切り花輸入の増加により価格も低迷、品種のロイヤリティも高く生産者の経営を圧迫しているという状況。さらに、海外育成品種は高温多湿の日本では栽培環境に適さないことが多かったそう。
そこで、神奈川県の気候条件に合い、花に特徴があり、生産性に優れた高品質の品種を目指して開発が始まりました。切り花品種としての品質、生産性、栽培適性などを調査し、5年をかけて育成されたのが「湘南キャンディレッド」や「マリアージュシャルマン」です。
「湘南キャンディレッド」は、鮮やかな赤色で丸みを帯びた形が特徴。1本に4~5輪程度の花が付くスプレータイプで、年間を通して安定した収穫ができます。
「マリアージュシャルマン」は、鮮紫ピンクのぼかし模様で花の大きさは約7cmと少し大きめ。花持ちが良く、長期間観賞できるのが魅力です。
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湘南キャンディピンク「湘南キャンディレッド」の枝変わり品種。表面が鮮紫ピンク、裏面がピンク白で、裏面の方がやや淡い色をしています。 -
湘南キャンディルージュ「湘南キャンディレッド」の枝変わり品種。表面が明紅、裏面が鮮紫ピンク。やや小さめで可憐な印象です。 -
時間をかけた育成花色や形が優れたものを選抜し、接ぎ木をして、品質、生産性、栽培適性等を調査しながら育成していきます。
スイートピー
神奈川県はスイートピー栽培発祥の地と言われています。明治時代末期に三浦半島で露地栽培が始まり、昭和に入ってから茅ヶ崎や海老名などで温室栽培が始まりました。スイートピーの栽培に適した気候であったことと、当時は花の日持ちが短かったため、消費地に近い神奈川県での栽培が発展してきました。
しかし、日持ちを長くする品質保持剤が開発されたことから他地域でも栽培が盛んになり、神奈川県の市場地位が低下。そこで、県内での栽培に適した開花特性、他産地と差別化できる特徴をもつ品種を開発するために、品種育成に取り組んできました。
近年の気象変動(高温)に対応した品種が欲しいという生産者からの提案を受けて開発された「春かなピンク」は、花びらにウェーブがあり、花が大きくて華やか。4月頃まで高品質な切り花が収穫できます。スイートピーが本来もつ優れた香りと高い観賞性を両立した「スイートシリーズ」は、「スイートピンク」がフローラルで華やかな香り、「スイートスノー」がパウダリーで甘い香りと、花によって驚くほど香りが異なります。
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リップルシリーズスプレーで吹いたような花びらの模様が特徴。ピーチ、ラベンダー、ショコラの3色があります。 -
スプラッシュシリーズ花弁に刷毛で掃いたような模様が入っています。ヴィーノ、ブルー、パープル、レッドがあり、スイートピー本来の豊潤な香りが楽しめます。 -
こまめな手入れが必要な栽培伸びる蔓を切り花が収穫しやすい位置に誘引する「ずらし」と、誘引しやすくなるように巻きひげと脇芽を除去する作業をこまめに行います。
栽培したくなる品種の開発へ
花の品種育成には長い時間がかかります。育成をスタートしてから商品として出荷ができるようになるまで、短くても数年、長い場合は10年以上かかることもあります。一方で、花の流行は移り変わりが早く、流行に合わせた新品種を出していく必要もあります。
そのため、常に市場の動向や生産者からの声に耳を傾け、どんな色や形の花が求められるのかを探求・試行錯誤し、市場に出回る時期を考慮しながら開発を進めています。
また、いくら花の形や色が良くても、栽培に手間やコストがかかりすぎると良い品種とは言えません。生産者が栽培しやすく、出荷までの負担が少ないことも大切な要素となります。勝間田さんは「今後も生産者さんが栽培したいと思い、かつ消費者の方に品種のストーリーが伝わる品種の開発を行っていきたい」と語ります。
花を買う時に品種まで意識することはあまりないかもしれませんが、これからは「神奈川県のオリジナル品種」がないか、是非チェックしてみてください。県のオリジナル花品種の購入は、バラは県内の花屋、スイートピーは直売所がおすすめです。
神奈川県のオリジナル花品種が見られるスポット
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Column
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